「なぁアレンまだかなぁ」
これで何回めだろうか。と思うと同時に大きな溜息が二つ。
一つは書類の整理を5メートル程先でしているリナリー、もう一つは自分だった。
いつもは辛気臭いような溜息なんて絶対にしないというのに…
今回ばっかりは疲れきってしまった。「黙れ」とか「五月蝿い」だとか。
そんなことを言う気も失せてしまうほどだ。
というかもう本当に病気なんじゃねぇのと云った感じだ。
本に没頭しているかと思えば突然に顔を上げて同じようなことを言って。
そしてまた頭を下げて本に没頭する。
せめてどっちか一つ…というか延々と本を読みつづけていて欲しいと思った。
もう一度、溜息を吐くと報告書である紙面に字を躍らせる。
今ではすっかりと慣れきってしまった英字がこちらを見詰め返して来る。
自室で書けばいいのかもしれないが、今のコイツに会ってしまった以上部屋に戻っても効果はないんじゃないかと思う。
本当にウサギは寂しいと死ぬなんて、信じている訳ではないがもし本当だったならコイツは絶対にウサギ、だ。
早くモヤシが帰って黙らせてくれないものか(もしかしたら余計騒がしくなるかもしれないが)と3度目の溜息を吐く。
するとまるでそれが伝染したかのようにリナリーが殴り書きの書類を見て溜息をついていた。
080216
残留
「こんなんじゃ読めないわ」byリナリー